40年の時を超え、乗工社「木曽ボールドウィン(初代)」製作記その2。手すりの表現と、不親切甚だしい説明書。

< 組み立て前に全真鍮パーツをサンポール責めに処す = である調 >


さぁて製作に取りかかろう。例によって全パーツを並べた集合写真から。

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まさしく古き良きバラキットの姿だなぁ↑ やはりというべきかキャラメルモーターの存在感がすごい。ここで、ある加工技術によるパーツがふんだんに使用されていることに気づく。おそらく今まで紹介してきたキットには一度も含まれなかったもの、すなわちドロップ(ドロップフォージング)製である。サクマ式とは関係ないとボケるつもりが、ひょっとして大いに関係あり?

ドロップパーツは鍛造の一種で、プレスのような打ち抜きのみならずレリーフ型を用いてディテールを表現したもの。つまり高価な雌型が必須であり、大量生産が望めない昨今のキットでは精密ロストワックスより割高になるんじゃなかろーか。基本的に型押しは厚い板材の片面に限られ、そのシャープさもロストに比べて甘め。

対するロストワックス部品を探すと……なんとまぁ、クロスヘッドのみではないかっ。ネジも全てマイナスネジだし、本当に時代を感じさせてくれるよ。

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説明書(探求・乗工社)もこの上なく簡潔で途方に暮れちゃうが、まずは手すり穴の開孔から手をつけた↑ じつのところ、完全素組みの方針で一番悩んだポイントが「手すりとハシゴを表現するか否か」である。むろん説明書にも本件に関する記載は一切ナシ(どころか後述のごとく基本的かつ重要なことすら書かれていない)。しかしねぇ、見てのとおりエッチングで開孔箇所が示されていて「ここに穴を開けて真鍮線を植えるくらい自分でやったら?」などとメーカーに促されている気がしてならないものだから、素組みの範疇に入れてもかまわんだろうと受けて立った次第だ。それに、この目印然とした表現を残したまま完成させると、ずいぶん妙な具合になりそうで怖かった。

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今さら本キットを組む人など皆無に近いと思われるものの、いちおう私が取った手順を紹介しておこう。まず後妻板に内張りを貼る。その天地位置は、ネジ止めした床板と妻板裾がツライチになる所が正解だと思う。私は床板より裾をわずかに下げたせいで、あちこち微調整を強いられることとなった。

次に前後妻板と側板を裾合わせで四角に組む↑ このとき妻面から見て側板のコバが見えるようハンダ付け。こういった基本的な情報も、説明書のイラストを穴があくほど見つめ、何度もパーツを仮合わせして導いたわけだ……写植文字でも一行並べてくれりゃ即解決する話なのにねぇ。

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キャブ後妻兼リアタンク蓋のL字板をハンダ付けしたら、木曽ボールドウィン最大の特徴、屋根より高く継ぎ足された鯉のぼりちゃう増炭囲い板(実際の燃料は薪だけれど)を取り付ける↑ 当時すでに一枚ものを折り曲げて形にする技術はあったろうに、全ての面がバラバラにエッチングされていて鬱陶しい。ただ、思ったほど苦労しなかったわ。増炭板前面は屋根の取り付け後だな。

なお禁断の追加工として、上記L字板のリアタンク蓋面中央(= 炭庫底面中央)にφ1.5mmの穴を開けた。コールバンカー(面倒くさいからオリジナルの炭庫+増炭板を含めてそう呼ぶことにする)に薪をはめ込みネジで固定するための準備工事だけれど、穴の一つくらい許してくれよっ。

この時点の感想を述べると、組みやすいような組みにくいような……なんともいえん。説明書がもう少し親切だったら、悩む時間も大幅に減ってテンポよく進めそうではある。

全国森林鉄道 JTBキャンブックス
全国森林鉄道 JTBキャンブックス
現存するボールドウィン1号機は再整備時に増炭板が撤去されてしまったようだ。

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